研究ラボ紹介

新規課題 共同研究

時分割X線分光学で観る光回復酵素によるDNA修復過程

研究代表者:山元 淳平 物質創成専攻・機能物質化学領域

研究分担者:Manuel Maestre-Reyna Institute of Biological Chemistry, Academia Sinica

研究分担者:Sophie Franz Philipps-Universität Marburg

DNA修復過程をスナップショットで”観る”

 近年、自然界に存在する光受容蛋白質の光応答反応解析に、X線自由電子レーザー(XFEL)を用いた時分割シリアルフェムト秒X線結晶構造解析(Time-resolved serial femtosecond X-ray crystallography, TR-SFX)と呼ばれる測定法が用いられ始めています。TR-SFXとは、光受容蛋白質の微結晶に対して可視領域のレーザー光を照射し、一定の遅延時間の後にXFELパルスを入射して回折像を得ることで、光照射に伴う蛋白質の構造変化を原子レベルで決定できる手法です。したがって、遅延時間を適切に設定すると、光反応の進行をスナップショットのように連続的に観ることができ、2018年にはバクテリオロドプシン中のレチナールの光異性化反応を追跡した美しい実験結果が報告されています。

 本研究で対象とする光回復酵素は、太陽光中の高エネルギー成分である紫外線によって構造が変化したDNAを、より低エネルギー成分である青色光を用いて元の塩基構造へと修復することができる酵素です。紫外線損傷DNAのひとつである(6–4)光産物の修復を担う(6–4)光回復酵素によるDNA修復機構は、酵素の発見から25年が経過した現在でも盛んに議論されており、特に中間体の存在の有無が論点になっています。TR-SFXはこの問題点を解決しうる有力な手法です。

 本課題では、異なる研究背景を持つ日本・台湾・ドイツの若手研究者を中心とした国際共同研究拠点を構築し、SPring-8/SACLAでのTR-SFXによる(6–4)光回復酵素によるDNA修復機構の全容解明を目指します。また、ESRFでの時分割溶液X線小角散乱測定(TR-SAXS)を並行することで、光反応直後からDNA-蛋白質複合体の解離までの一連の過程の分子構造変化のモデル化を試みます。

 山元先生

 

参考URL

国際共同研究グループ

http://www.chem.es.osaka-u.ac.jp/bio/