研究ラボ紹介

個人研究

流れ場のマルチスケール形状最適化問題と材料工学への応用

研究代表者:中澤  嵩 数理データ科学教育研究センター・数理科学ユニット

マルチスケール流体制御で開拓する多孔質体構造の形状最適化

これまで,多孔質体構造に対する数理モデリングとして,均質化法が代表的な数学技術として挙げられる.この均質化法を活用して,主に材料力学では,熱伝導率の高い(低い)高価な(安価な)材料の最適配置等が積極的に行われてきた.一方で,流体力学においては,熱流体を通過させることで乱流(不安定な流れ場)を発生させ,それによって流体から効率的に熱を取り出すことを目的としてラジエイター(熱交換器)の開発が古くから行われている.しかし,現代の数理工学・計算工学分野において,形状最適化問題・流体制御・数値流体解析・均質化法を融合させた研究は十分に進んでおらず,結果的に膨大な実験解析(及び経験)から多孔質体の設計を行わざるを得ないという問題が産業界の現場で課題となっている.

本課題での達成目標は,多孔質体構造内部の流体制御を実現する形状最適化問題の数学基盤を構築することである.具体的には,形状最適化問題・流体制御・数値流体解析・均質化法を融合させるかたちで,目的関数と主問題を定義し,汎関数を設定する.次に,随伴変数法に従い,汎関数の第一変分を導出,感度の評価を行う.更には,随伴問題の数学解析もまた行う.最終的に,2次元領域における数値計算による当該最適化問題の妥当性を検証する.

 本研究課題を達成した後には,大規模数値計算を通じて3次元構造を持つ多孔質体構造の最適設計を行う予定である.一方で,近年の材料力学分野では,均質化法とトポロジー最適化を軸に,材料の最適配置や強度の最大化等を行っている.将来的には,多孔質体の材料自体に対して,このような最適化問題(最適配置,強度最大化)を行う予定である.このような効率的な熱輸送を実現する研究は,省エネルギー化を必要とする現代社会において必要不可欠であり,工学的な応用・適用対象は枚挙にいとまがない.

 

ディスクを有する2次元Cavity flow(Fig. 1)において,周期流を抑制するようにディスクの形状を最適化(Fig. 2)している.ここに,均質化法を取り入れ,マルチスケールで周期流の制御を行い,多孔質体構造の最適設計に繋がる数学基盤を構築する.

ディスクを有する2次元Cavity flow(Fig. 1)において,周期流を抑制するようにディスクの形状を最適化(Fig. 2)している.ここに,均質化法を取り入れ,マルチスケールで周期流の制御を行い,多孔質体構造の最適設計に繋がる数学基盤を構築する.