研究ラボ紹介

新規課題 個人研究

等温反応かつ正確なDNA増幅法の開発

研究代表者:白石 都 物質創成専攻・機能物質化学領域

RadAとCas9を用いた正確な等温DNA増幅法の開発

DNAの増幅技術は、今日の分子生物学を支える最も基本的な技術である。加えて、法医学的検査、遺伝病検査や感染症診断などにもDNA増幅技術は欠かせない。したがって、よりよい利便性や効率性、正確性が常に求められている技術でもある。現在最も普及している方法はPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)とよばれる手法であり、検査対象となる試料とDNA合成に必要な材料を混合して、2〜3段階の温度変化を制御するだけで指数的にDNA増幅が可能である。PCRはDNA増幅技術として最も古く、また依然として最も人気のある技術である。しかし、PCRは高価で持ち運びが困難な機械を用いるため、DNA増幅が必須となった今日の分子生物研究者の大きな負担になっており、かつ迅速な感染症診断などが必要とされる発展途上国や災害地での検査や、被験者のそばで行われる迅速検査(POCT)の発展の妨げとなっている。本研究は、等温増幅法を感染症診断などに限らない、一般的なPCR法の代替法としての活用を目標とし、正確性に長けた新しい等温DNA増幅法の確立を目指す。等温法で要となるのが、DNAの二本鎖をどのように一本鎖に変性させるかにある(PCRでは熱を用いる)。申請者は、DNAの構造を変化させる(配列特異的な鎖置換反応を触媒する)二つの異なるタンパク質、RadAとCas9に着目し、線状・環状DNAの両方に応用ができるPCR代替法合成法の確立を試みる。本研究が提案する、正確な等温DNA増幅法が確立すれば、即時に社会への応用が可能であり、かつこのような遺伝子工学的進歩は、延いてはライフサイエンスの発展に繋がると期待している。

白石先生

RadAとCas9タンパク質を用いたDNA合成の概略

 

参考URL

http://www.chem.es.osaka-u.ac.jp/bio/