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個人研究

遠紫外域の強みを活かした表面プラズモン共鳴センサーの開発

研究代表者:田邉一郎 物質創成専攻・機能物質化学領域

短波長の光を利用した物質選択的かつ表面敏感なセンサーの開発

プリズム表面に蒸着した金属薄膜表面の屈折率変化を検出する表面プラズモン共鳴(SPR)センサーは、抗原抗体反応の検出をはじめとしたバイオセンサーや化学センサーとして、既に汎用装置も販売されています。現在は金薄膜を用いて可視域が利用されていますが、本研究では波長の短い紫外域(特に注目しているのは波長200 nm以下の遠紫外域)を利用した新しいSPRセンサーの開発を目指します。以下、紫外域を利用することで期待できるメリットを、2点記載します。(1) SPRセンサーで検出対象物質となる多くの物質(各種たんぱく質や核酸塩基など)は、可視域には吸収をもたない透明な物質ですが、紫外域には各物質特有の電子励起に基づく吸収をもちます。したがって、特定の物質が共鳴する波長で検出を行えば、その物質を選択的かつ高感度に検出できると期待されます。(2) また、波長の短い光を利用すると、それだけ金属薄膜表面に近い領域を鋭敏に検出することができます。以上のようなアドバンテージを期待して、遠紫外域でもSPRを励振することのできるアルミニウムのセンサーとしての性能を評価することが、本研究の具体的な検討事項です。表面敏感性を検証するために、ナノメートルオーダーの有機薄膜をアルミニウム上に製膜し、そのSPR特性の変化を測定します。また、測定波長域に吸収がある物質とない物質で比較を行うことで、物質選択性と高感度化について検討します。なお、遠紫外領域は大気中の酸素や空気も光を強く吸収してしまうため、従来は超高真空雰囲気下での測定が中心でした。それに対して本研究では、独自の減衰全反射型分光装置を利用することで、試料系を大気解放したままの測定を実現します。測定部分の概要を図に示しましたが、プリズムを介して測定部と光路部が分離されており、光路部は乾燥窒素で充填しています。これにより、センサーとしての利用も可能になります。本研究により遠紫外域を利用したSPRセンサーの強みを明確に示し、将来的には目的に合わせた波長や入射角度などの各種因子の最適化や、実用化されているフローシステムの導入なども行っていきたいと考えています。

採用する減衰全反射型分光装置の測定部のモデル図

採用する減衰全反射型分光装置の測定部のモデル図

 

参考URL

http://www.chem.es.osaka-u.ac.jp/surf/