研究ラボ紹介

新規課題 個人研究

非線形時空間ダイナミクスを用いた機械学習:“乱流”は音声を認識するか?

研究代表者:犬伏 正信 機能創成専攻・非線形力学領域

巨大物理自由度を機械学習に活用するための基盤構築

近年の人工知能・機械学習技術の発展により,音声認識等の情報処理精度は飛躍的に向上しています.またハードウェアの面では,量子コンピュータに代表されるような新たな計算原理に基づく革新的な計算機の実現が求められています.そのような社会的要請の中,高速かつ省エネルギーな情報処理を実現する方法として,リザーバコンピューティング(Reservoir Computing)と呼ばれる,ハードウェア実装に適した機械学習法が近年注目されています.リザーバコンピューティングはニューラルネットワークの学習法として提案されましたが(左図),現在では様々な物理現象を用いたハードウェア実装が活発に研究されています.

 リザーバコンピューティングの研究のブレイクスルーの1つは,時間遅延ダイナミクスを上手く活用した実装法が提案されたことによります.この実装法は現在では最もよく研究されている一方で,高速性や情報処理性能に限界があることが予想されます.本研究課題では,従来法の延長にない新しい実装法として連続時空間ダイナミクスを用いたリザーバコンピューティングの実装法を研究します(右図).連続時空間ダイナミクスの代表例として,本研究では流体運動に着目します.特に,外力(入力信号)によって駆動される“乱流”運動の巨大自由度を情報処理のリソースとして活用する機械学習法を構築します.そのためには機械学習だけでなく,流体運動の物理,Lyapunov解析と呼ばれる数理解析による分野横断的研究が必要不可欠です.本研究で連続時空間ダイナミクスのリザーバコンピューティング実装に関する設計指針を確立し,将来的には他の物理実装法へ応用,さらには革新的な次世代計算機の実現に貢献したいと考えています.

犬伏先生 図

(左図)リザーバコンピューティングの概念図.(右図)提案法の概念図.

 

参考URL

http://fm.me.es.osaka-u.ac.jp/inubushi/index-j.html