研究ラボ紹介
新規課題 共同研究
電気トロイダル物質における熱流誘起スピン流制御
研究代表者:下澤 雅明 物質創成専攻・物性物理工学領域
研究分担者:Clifford Hicks イギリス バーミンガム大学
研究分担者:細井 優 アメリカ ロスアラモス国立研究所
研究分担者:宮本 大輝 基礎工学研究科 博士課程後期
熱、歪み、スピンの共奏で拓くスピントロニクス
本研究で着目する純スピン流は、新しい要素として大きな注目を集めているが、多くの場合、以下の課題があります:
1.電流で発現するため、ジュール熱による損失が存在してしまうこと
2.純スピン流を担うスピンの向きを局所制御できないこと
3.評価方法として、平坦・清浄な試料表面に白金などを蒸着し、微小な電気信号として取り出す必要があること
これらの問題は純スピン流を一般利用するにあたって大きな制約となっています。本研究課題では、このような問題を解決するため、電気トロイダル双極子物質を舞台として以下の目標を掲げています:
1.熱流によるスピン流の生成技術
2.歪みによるスピン流の局所制御技術
3.走査型SQUID顕微鏡による磁気情報としてのスピン流観察技術
これらの目標を同時に実現できる測定システムを開発するのが、本研究課題を実現する上で最も重要です。このような熱流を印加しながらの局所磁化測定は、申請者が知る限り一切なく、新規性の高い試みです。特に、熱測定では熱を逃がさないことが最重要条件であり、SQUID顕微鏡はこれを満たすための優れた特性を備えています。さらに、ピエゾ素子を用いた歪みシステムとの相性も極めて良好です。 この測定システムが完成すれば、電気トロイダル双極子による従来とは異なるスピン流生成機構の解明に加え、その制御および観察に基づく応用技術への貢献が期待されます。