研究ラボ紹介
継続課題 個人研究
機能的電気刺激と表面筋電図をインタラクティブに使用する新しいバイオフィードバックシステムの研究
研究代表者:松居 和寛 機能創成専攻・機能デザイン領域
EMGとFESによるバイオフィードバックを結合したシステムを提案する
2020年9月現在,脳卒中理学療法における「バイオフィードバック療法」は,国内ガイドラインで推奨グレードA,エビデンスレベル1に位置付けられており,臨床で行うことが強く勧められている .海外のAmerican Heart Association/American Stroke Associationガイドラインにおいては,2016年時点でエビデンスレベルB,推奨グレードⅡbであり,徐々に推奨度が高くなってきている.バイオフィードバックには筋電図(EMG)を視覚的・聴覚的にフィードバックする筋電図バイオフィードバック(EMG-BFB)や,機能的電気刺激(FES)をバイオフィードバックとして利用するもの等があり,個々で有効性が示されている.しかし,それぞれの技術には以下のような課題が残されている.
・EMG-BFBの課題:現在臨床で用いられているEMG-BFBは,筋単体のEMGを図やグラフ,あるいは音に変換し患者に伝えるものである.取得されたEMGを患者が理解できる「意味ある情報」,すなわちEMGから予測される運動に変換したフィードバックはできない.そのため,患者自身が,フィードバックされるEMGをどのように変化させれば目標としている運動を実現できるのかを学習できるEMG-BFBを実現する必要がある.
・FESの課題:筋を協調的に刺激することが重要であり,目標とする運動を実現できる筋活動を電気刺激により励起されることが望ましい.歩行のパターンに合わせてスイッチで歩行動作に関与する複数筋の協調的電気刺激を行う手法などで治療エビデンスが示されているが,多チャンネルのFESを用いて指定した運動を実現するFESバイオフィードバックは未だ存在しない.
本研究では,上記の課題を解決し,さらにEMG-BFB,FESによるバイオフィードバックを結合して,それぞれの利点を最大限引き出せるシステムを提案することを目的とする.