研究ラボ紹介

継続課題  新規領域開拓

単一脂質分子の分離分析法の創成

研究代表者:岡本行広 物質創成専攻・化学工学領域

研究分担者:大城敬人  大阪大学産業研究所

新規リピドミクスの分析法を目指して

『リピドミクス』の重要性が認知され,液体クロマトグラフィー(LC)・質量分析(MS)を基盤技術とし,リピドミクス解析が行われている.しかし,脂質分子は,構造が多様であり,しかも,光学異性体を含めるとその分子種の数は膨大である.また,存在する濃度も,水中に溶解しているごく微量のものから,油滴として存在するものまで濃度域が広い.このため,LC/MSでは分離性能や検出限界/構造解析に限界が生じており,リピドミクスが要求する性能に到達していない.このため,従来法とは根本的に異なる原理が必要である.

そこで,脂質分子の分離に関しては,固定相と脂質分子との分子間相互作用を分離に活用する液体クロマトグラフィーの優れた点を有し,かつ,電気泳動の優れた分離性能も有する液体クロマトグラフィーと電気泳動のハイブリッド法を脂質分離へ適用することを目指す.そして,単一脂質分子の分離を目指す.また,脂質は一般的に蛍光を示さず,紫外や可視域に吸収を持たない.また,ラマンや赤外分光では,高感度検出は不可能であるため,脂質分子の高感度検出法が必要である.そこで,分離された脂質分子の高感度検出ならびに構造解析を電気化学的な手法により実施する.以上の分離・検出/同定法により,LC/MSに勝る新規原理に基づくリピドミクス法の開発を目指す.