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継続課題  個人研究

気管軟骨の"形"を生む気管間充織細胞の凝集メカニズムの解明

研究代表者:古川 可奈 エマージングサイエンスデザインR3センター

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我々肺をもつ動物は、様々な動きをしながら呼吸を続けている。この『呼吸の維持』は、どんな動きにも対応できる気管の特殊な組織構造によって叶えられている。気管は管腔組織であり、呼吸を続けるにはこの管腔構造を維持し、換気効率の確保が重要である。この構造維持に働くのが『気管軟骨』『輪状靭帯』『平滑筋』である。気管軟骨は管腔構造を維持する硬さを与え、輪状靭帯と平滑筋が軟骨間を埋めることで柔軟性を保っている。首や体を曲げても空気の通り道が維持され続けるためには、ジャバラ状の気管軟骨のパターン構造があることがポイントである (図 A) 。しかし、このパターン構造の形成メカニズムは不明である。

我々はこれまでに、発生期において気管組織の形態が一時的に変化し、それに合わせて気管軟骨前駆細胞が集団を形成しうる状態にあることを発見した。さらに、二次元培養下で成熟気管軟骨組織を形成する分化誘導法を開発した(図B)。そこで本研究では、まず初めに一時的に発生する形態変化を模したPDMS基質デバイスを作製し、その上でマウスES細胞(mES)を分化誘導することで、一時的に生じる形態変化が気管軟骨のパターン構造を決める要素であるか解析を進める。次に、一時的に生じる形態変化を気管軟骨前駆細胞が感知する“力学センサー”の探索を行う。

 

古川先生図1.png

 

参考URL

http://mbm.me.es.osaka-u.ac.jp/