研究ラボ紹介
新規課題 個人研究
細胞間ミトコンドリア移送の時空間制御に向けたマイクロパターニングと合成受容体システムの活用
研究代表者:Wildan MUBAROK 物質創成専攻・化学工学領域
合成受容体とマイクロパターニングシステムを融合した細胞間ミトコンドリア移行の制御
細胞間の「ミトコンドリア移行」は免疫系の調節やがん細胞の生存など、多様な生理現象に関与する重要な現象である。しかし、ミトコンドリア移行を制御する方法が存在しないため、そのメカニズムの研究は未だ困難である。この課題を解決するため、本研究では合成生物学と組織工学を融合させることでミトコンドリア移行を時空間的に制御可能な新規システムを提案する。具体的には図のように、可逆的に光でスイッチング可能な蛍光タンパク質(reversibly photo-switchable fluorescent proteins: RSFP)を固定化した「送信 (sender)」細胞と、直交的に反応可能な合成膜内プロテアーゼ受容体(orthogonal synthetic intramembrane proteolysis receptor: orthoSNIPR)を持つ「受信 (receiver)」細胞とを用いる。これにより、自然界に存在しないRSFPリガンドによってorthoSNIPRを介してプログラム可能な細胞応答を誘導できると考えられる。本システムではまず、図Aのようにsender細胞が表面に固定化されたRSFPリガンドを提示する。次に図Bのように、提示されたリガンドをorthoSNIPRによって受信したreceiver細胞がMIRO1遺伝子を活性化し、ミトコンドリア移行を誘導する。RSFPは光照射によりオンデマンドで可逆的に活性・不活性化できるため、光による時間的制御(ON/OFF)が可能になると考えられる(図D)。さらに、sender細胞とreceiver細胞を特定の配置にマイクロパターニングすることで、細胞間距離がミトコンドリア移行に及ぼす影響を空間的に解析できるようになると期待される(図C)。

本研究の概念図




