研究ラボ紹介

新規課題  共同研究

計算科学に基づくイオン液体型ソフトマター電解質の物性チューニングと次世代二次電池応用

研究代表者:近藤 慎司 物質創成専攻・機能物質化学領域

研究分担者:Fangfang Chen Deakin University

研究分担者:Kewei Cai Deakin University

研究分担者:Maria Forsyth Deakin University / Ikerbasque Basque Foundation for Science

 

持続可能な社会の実現には、エネルギーの高効率な生成・貯蔵・利用を可能とする技術革新が不可欠です。現在のリチウムイオン電池では、電気化学安定性の観点から有機溶媒を用いた電解液が広く使用されていますが、揮発性や可燃性の問題が依然として課題となっています。このような背景から、無機固体電解質を用いた全固体電池の開発が進められていますが、電極と電解質の広い界面構築の困難さや、充放電に伴う電極の体積変化に対する電解質の追従性の欠如といった問題点が顕在化しています。 本研究で取り上げるソフトマター電解質は、有機電解液と無機固体電解質のギャップを補完する物質群として注目されています。これらは難燃性を備え、柔軟で成形が容易でありながら、硬さや弾性を自在に制御できるという特長を有します。一方で、移動するイオンが高分子鎖に補足されやすく、十分なイオン伝導性を得にくいという本質的な課題が存在します。 本研究では、この問題を克服するため、海外研究機関と連携し、イオン液体型高分子を媒体に用いた「イオン液体型ソフトマター電解質」の開発に取り組んできました。分子動力学シミュレーション等の計算科学的手法を用いてイオンの配位構造を定量的に解析し、Liイオンと高分子との相互作用を精密に制御することで、イオンの移動を妨げずに高いイオン伝導性を実現できる可能性を示してきました。本申請課題では、イオン液体の持つ多様な分子設計の自由度を最大限に活かし、計算科学主導によるイオン液体型ソフトマター電解質の設計指針を体系的に構築し、実用レベルの高イオン伝導性材料の創出とそれを基盤とした蓄電デバイスの開発を目指します。

 

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図. 計算科学主導によるイオン液体型ソフトマター電解質の設計指針の構築

参考URL

https://researchmap.jp/shinji_kondou

https://doi.org/10.1021/jacs.4c12616