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超高圧下による重合反応を利用した分子性結晶の集積構造の固定化

研究代表者:桶谷 龍成 物質創成専攻・機能物質化学領域

有機結晶の高圧下における構造を常圧で実現する手法の開発

本研究はπ共役系化合物の分子性結晶を用いた超高圧条件でのトポケミカル反応により、分子間空隙を極限まで小さくした集積構造を固定化することを目指します。分子性結晶はその柔軟性から加圧によって、分子間相互作用の変化し、それに伴う物性の変調が観察されます。たとえば、テトラセンやペンタセンのような単純な芳香族炭化水素の単結晶に圧力を印加すると、分子間の軌道の重なりが大きくなり、光電流が圧力に比例して増加することが報告されています。このように有機分子性結晶に対し圧力を印加すると、常圧で起こりえない物性を引き出すことが可能となります。しかしながら、一般的にこの変化は圧力に対して可逆的であり、常圧で実現することは困難です。そこで本研究では、超高圧における密なパッキング構造を常圧で実現するため、超高圧条件での重合反応を行い、集積構造の固定化を目指します。超高圧という極限条件から分子性結晶の集積構造にアプローチすることにより、熱力学的平衡の結果として得られる構造を超えた密度の構造体を実現することを目指します。

 

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図1. 本研究の実施内容の概略。

 

参考URL

http://www.chem.es.osaka-u.ac.jp/mac/