研究ラボ紹介

新規課題  新規領域開拓

革新的ユビキタス元素触媒群の創発と設計指針の理論的構築

研究代表者:満留 敬人 物質創成専攻・化学工学領域

研究分担者:平山 元昭 理化学研究所

研究分担者:Aleix Comas-Vives Technische Universität Wien

研究分担者:M. Rosa Axet Laboratoire de Chimie de Coordination (LCC), CNRS

脱希少金属に向けた資源循環型触媒科学の創出

化学産業を支える触媒は、いまも白金やパラジウムといった貴金属に大きく依存している。しかしこれらは資源の偏在や高コスト、供給リスクを伴うことから、持続可能な社会の実現に向けて、代替触媒の創出が強く求められている。その候補として鉄やマンガンなどのユビキタス元素が注目されてきたが、これらの元素は高活性触媒として機能させるための電子状態制御が極めて難しく、長らく設計原理の確立には至っていなかった。  私たちの研究グループは近年、リン化鉄や準安定炭化鉄といった非酸化物ユビキタス材料が、従来の鉄触媒とは異なる高活性・高安定性を示すことを明らかにした。本課題ではこの知見を出発点とし、触媒化学・物性物理・計算科学を統合することで、未踏の材料空間に埋もれた『新たなユビキタス元素触媒群』の体系的探索と機能解明に挑む。ユビキタス元素を含む様々な金属非酸化物を対象とし、結晶構造・電子状態・反応特性の相関を多角的に解析することで、活性発現の本質因子を抽出する。  本研究は、日本と欧州の研究機関による国際共同体制のもと、異なる学問領域を横断的に結集し、「貴金属依存からの脱却」という科学と社会の課題を、新たな学術領域の創出によって乗り越えることを目指している。

 

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参考URL

https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2025/20250418_1